お勧め小説 「海を照らす光」 M・L・ステッドマン
今日の大阪は快晴。日中は22℃。
朝晩の温度差が大きいので何か調子狂う。
ランチは陽気に誘われてカフェに。
軽めにと思って、サンドとコーヒーにしたのだが、さすがに物足りないわ。
後で何か食べようと思ったが、結局そのまま。
やはり昼はしっかり食べないとな。
さて今日のお勧め本。
「海を照らす光」 M・L・ステッドマン
図書館で外国の文庫本のコーナーで見つけた本。概略をザっと見て読もうと思った。
主人公の仕事が灯台守というのがいい。なんか面白そう。
トム・シェアボーンは戦争(第一次世界大戦でドイツ軍と戦った)が終わり故郷、オーストラリアに戻る。そこでありついた仕事が灯台守の臨時要員。やがて半年が過ぎて正式にヤヌスロックの灯台守となる。オーストラリアの西の果てからさらに海を超えた孤島である。この仕事は基本一人で、誰も見ていないからといって気楽なものではない。規則、規律に則った厳しく真面目で寡黙な仕事であった。しかし、これは戦争で精神的に傷ついたこの若者のにおあつらえ向きの仕事であった。
やがて灯台守の責任者的立場にある港長の娘、イザベルと結婚する。実はこの二人、シェアボーンが着任する前に港で既に出会っている。といっても挨拶程度だったが。すでにその時に縁があったのだ。
イザベルがヤヌスロックにやってきて二人だけの生活が始まった。そうする内に二人の間に子供が誕生するかに見えたが、イザベルは流産を繰り返す。トムは勿論、優しく慰めるのだが、寂しさが募るだけ。そんな時に、人が乗った小さなボートが砂浜に着く。乗っていたのは既に息絶えていた男と赤ん坊だった。何と赤ん坊は元気に泣き声を上げていた。
そして律儀なトムはこの事を日誌に書き留め、決まりに則って報告しようとするのだが、イザベルに阻まれてしまう、、、
いやあ、久々に心にドスンとくる本でした。
私にとって今年屈指の本になると思う。
「単純な事実を述べるという贅沢を味わう」(灯台守の仕事はトラブルが無ければ単調な毎日。記録することも殆ど変化が無い。しかし、過酷な戦争を体験し、寝食もままならないことを経験した後では、この単調さが何と贅沢なことか)
「幸福な点を数えあげて、そう悪くない状態に感謝しなければならない」(悪いこと、恵まれないことに拘るのではなく、今あるもの、与えられるものに感謝すべき)
本文に載っていた言葉。いい表現だ。
「海を照らす光」のお勧め度は◎です。(◎最高、〇まあまあ、△まあ、◆あまり)